一足遅く、夏を感じに - 台湾旅行記 -

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開放されている旧台東駅 郊外にある台東新駅

台東の街には駅がない。新しい線路ができて駅ごと郊外に移ってしまったからで、それでも今も変わらず街の中心である旧駅跡はほぼ往時の姿を留めていて、今にも列車が来そうな雰囲気すらあった。
朝一の列車に乗るべく、夜明け間もない頃に出発するバスでその新駅に向かった。旧駅前のバスターミナルからおよそ10分ほどかかる。切符を買おうと列に並ぶと「コンピューターのトラブルで発券できないから車内で払ってくれ」と言われ、無札で列車に乗り込んだ。
花蓮方面へ向かう自強号(特急)は日本製のディーゼルカー。全席指定なのだが、切符を持っていないので適当な座席に座った。

車窓から 花蓮に到着

台東〜花蓮で内陸部を通る道を花東公路(山線)といい、線路はそれに並行している。
沿線には日本人の移民村が多かったという。「鹿野」「池上」「富里」「瑞穂」と、思わず日本語読みしそうになる地名が立て続けに現れるのは、何か因果関係があるのだろうか?
それらは今でも小さな集落を形成していて、特急列車とはいえこまめに停まっては大勢の人を降ろしまた拾っていく。
地図で見る限り山間部かと思いきや、車窓の景色は思いのほか開放的だった。
台東から約2時間半ほど、花蓮で列車を降りた。

バスターミナルでバスを待つ シンプルながら美味

花蓮の駅もまた街外れにあって、繁華街まで30分ほど歩く。
今日は景勝地として有名な太魯閣(たろこ)渓谷を散策してから花蓮に泊まろうと考えた。バスツアーでもあれば…と思ったもののそう上手いことは行かず、ただし数の少ない路線バスを組み合われば往復できそうだと分かった。
バスを待つ間、バスターミナルの近くにあるワンタンの有名店に行って時間を潰す。このワンタンがまた美味で、あっさりして癖のない日本人好みの味だと思う。今回の旅の中で一番の食事だったかもしれない。

太魯閣峡谷の中心、天祥 だんだんと日が傾きかけてきた

時間通りにやって来た、マイクロバスのようなバスに乗る。花蓮の街を抜け、川沿いに渓谷を分け入り登って、太魯閣の上流部、天祥バス停まで2時間弱かかる。
ここから花蓮行きの最終バスに間に合うよう、今バスで来た道を歩いて下っていくことにした。バスで流れ行く景色を楽しむのもいいが、歩きながら一つ一つの景色を時間をかけて味わうのもまたいい。
10kmは歩いただろうか、あるバス停で終バスを待ち構えていると、勢いよく下って来たバスは最初手を挙げた私を無視して通り過ぎてしまった。一瞬焦って追いかけたが、気付いてすぐに止まってくれたので助かった。
花蓮の宿は日本人オーナーが経営する民宿で、明日の行程の相談に乗ってもらってから就寝した。明日も早い。

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