渡星 (2)

朝起きて向かった先は…

廃駅、


そして廃線跡でした。


2011年にシンガポール国内の鉄路が廃止されたマレー鉄道の跡です。
MRTダウンタウン線のキング・アルバート・パーク駅近くに旧ブキ・ティマ駅跡があり、廃線跡は遊歩道として開放されています。
写真のように、線路が残っている部分もあります。


ビューティー・ワールド駅から再びダウンタウン線に乗り、新交通システムのようなサークル線などを乗り継いで、南北線マルシリン駅で下車しました。
ここから北へ歩くこと約20分…


ウッドランズ・トレイン・チェックポイント。
マレーシアとの国境です。
シンガポールのいろいろをそっちのけで、早くも出国してしまいます。


イミグレを抜けるとバス乗り場に出ました。
どれに乗ったって行くところには行くでしょ…というわけで、行き先も良く分からないまま適当なバスに乗りました。


ジョホール水道を越えます。
シンガポールとマレーシアの陸路はここと、西部のトゥアスのみです。


ジョホール・バル(通称JB)は、首都クアラルンプールに続く、マレーシア第二の規模を持つ都市です。
サルタン王宮やアブ・バカール・モスクといった名所の辺りを散策し、昼はイッ・ルー・カフェの名物チキンチョップを食べました。
マレーシア名物…というわけではないと思いますが、日本人の口にも合う味付けで非常に満足でした。


都市化の度合いを除いては、個人的にシンガポールと比べて極端な異国感はありませんでした。
ただ、高層ビルやアパートの建築が進み、まだまだ発展途上という感はあります。


マレー鉄道の雰囲気の片鱗だけでも感じたくて、帰りは列車に乗りました。
JBセントラル-ウッドランズ間はシャトル列車の便があります。


すぐ車窓に3本の太いパイプが見えます。
2本はマレーシアからシンガポールへ輸出される原水が流れ、1本は浄化してマレーシアに送られる水道管です。

水資源に乏しいシンガポールにとってはまさに生命線であり、マレーシアに握られた弱み、という見方もできると思います。
実際、マレーシアより水の供給停止や値上げをちらつかされてもいます。
建国の経緯などからして良好ではない、一筋縄ではいかない両国の関係がここに垣間見えます。


再びMRTを乗り継いで、旧シンガポール駅にやって来ました。
中心市街地の外れにあり、面する道路の交通量は多くても、人通りは少なくひっそりとしていました。
駅舎は封鎖され中には入れず、プラットホームの跡地は再開発が行われるようで、工事中でした。

往時はもっと賑わいがあったのかもしれませんが、それにしても国や町の玄関口という雰囲気とは違っていました。
ここの場合、国や街とを結ぶ鉄道の意味合いを見限られていたように感じます。
あるいは、シンガポール国内の施設もあくまで所有者はマレー鉄道(つまりマレーシア)だった、ということも背景にあるのかもしれません。

カテゴリー: パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です