城崎温泉から先は電化されているが、やって来た豊岡行きの列車は浜坂発のディーゼルカーだった。
豊岡からは電車に乗り換えた。この車内で眠気を催し、ハッと目が覚めると「和田山」の文字が飛び込んできた。山陰線完全乗車の瞬間はあまりに突然、そして呆気なくやって来た。
福知山で京都行きに乗り換え、京都へ向かう。夕食は京都でと思っていたが、ふとラーメン屋の天下一品は京都発祥だったことを思い出した。本店はJRから遠いので、近いところに店はないかと探したところ、二条の駅の近所に店を見つけた。
あの独特なスープは同じだったが、店の雰囲気は大分違い、背の低いカウンターから広い厨房が見渡せるようになっていた。メニューも多く、ラーメン屋というより中華料理屋のような感じだった。
腹ごしらえも終えて京都に出、長浜行きの新快速に乗った。この列車を米原で降りて、大垣行きに乗り換えれば、ムーンライトながらにちょうど接続する。
18きっぷ旅行者と思しき乗客が多く、皆この先の行程は同じだろうと、容易に察しがつく。多くの人にとっては旅の終わりだろう。そしてここには、飛行機や新幹線とは全く違う帰路の雰囲気がある。
それは少し寂しくも、十数年前と全く変わらない懐かしい感覚だった。
<おわり>