稚内市内の旅館に荷物を置き、駅前で車を返す。稚内駅は再開発で大きく様変わりした。ずいぶんと驚いたが、もう今日は暗いので明日詳しく見てみたい。
駅前の食堂で、稚内っぽいものをと「かにラーメン」を食べた。蟹は蟹、ラーメンはラーメンで美味かった。かにラーメンとしては…?
そのあと再び温泉に入ろうと路線バスに乗った。市が運営する稚内温泉「童夢」は日本最北端の温泉である。施設は海に面していて、吹きつける潮風はすっかり秋の気配で、露天風呂に入れば実に心地良い。夏も嫌いではないが、早く温泉が恋しくなる季節が来ないかと思った。
コンビニで買ったビール片手に宿に戻る。冷房はなかったが、外はそんなもの必要ないほど涼しく、すぐに寝付けた。
明日の朝の船でサハリンに渡る。ロシアを訪れるのはこれが2度目だ。最初は就職を控えた2007年春、卒業前にどうしてもシベリア鉄道に乗ろうと富山からウラジオストクに渡り、モスクワまで列車の旅を心行くまで楽しんだ。
今回の旅行記は、シベリアでの出来事を綴った大学ノートの続きに書いたものだ。旅の途中、ふと読み返してみると「次はサハリンに行きたい」と書いていた。それから3年半、思ったより早かった。九州赴任を控え、しばらく東京に戻ることはないだろうと思っていたからだ。
不安半分で恐る恐る出かけたシベリアは、様々な出会いと出来事に彩られ最高の旅になった。あの感動を味わいたくて、もう一度北へ向かおうと思った。
この旅路には一体何が待っているのだろう。