そしてまた、北を目指す (1) -東北、北海道ツーリング-

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夏休み初日の7月30日土曜日、自宅で昼食を食べて、のんびりと出発した。当初は深夜に家を出て、夜明け前に関東を脱出するというプランがあったのだが、休みを控えて職場を上がれたのが未明になってしまったので、きちんと寝て起きてからのスタートとなったのだった。
自宅近くの目白通りから笹目通り、新大宮バイパスを経て、外環道下の国道298号線に入った。そして草加からは東北方面への動脈、国道4号線である。外環と東北道を走っていれば、もう宇都宮辺りまでは到達していただろうと思う。しかし今回は、どうしても北海道までの道のりを全て下道で走破してみたかった。
越谷からバイパスが分岐してからは車の流れが俄然良くなった。宇都宮までの道はところどころで高速ばりの3車線となる。思えばこの4号バイパスは、学生時代に良く走った道だ。那須にダートトライアル場があって、練習会や大会のたびにこの道を何度も往復したものだ。もっともあのときは往路は深夜行軍、帰路は夕暮れ過ぎというパターンがほとんどだったので、意外と周囲の景色は新鮮に映った。
宇都宮を過ぎて少し走ったあたりで、大粒の雨が車体を叩き始めた。一瞬不安に思ったが、すぐに天気は回復し、再び晴れ間が覗いた。関東脱出は近い。
手元のツーリングマップによれば、栃木と福島の県境、すなわち関東と東北の境界は川で隔てられているという。カーナビで現在地を確認しながら、見逃すまいと構えていると、緩やかな下り坂のあと、突然「福島県」の看板が目に入った。あまりに突然で呆気なさすぎたので、あえなく通り過ぎてしまった。
慌てて次の農道に反れ、県境に架かる橋の全景を眺めた。名前は栃福橋といい、大した長さのないありふれた橋だった。もっとすごいものを期待していたので、一人勝手ながら拍子抜けした感は否めない。
ともあれこれで東北に入った。更に4号線を走る。ここから先も、ところどころで雨が降った。この週末は関東、南東北では天気が良くないと聞いていた。逆に北東北、北海道は晴れるという。早く更に先に進みたい。
郡山と福島の間あたりで完全に日没を迎えた。こうなればただ前を向いて走るだけだ。タイミングや地の利を考えて、今日は仙台で宿を取ろうと考えていた。
ちょうど20時頃に宮城県に入った。次の白石からは国道457号線という道が、4号線と沿うように伸びている。地図で見る限りはさして面白みもなさそうな道だったのだが、ツーリングマップルで絶賛されていたので、気になった。
しかし私は457号線を全区間走破することはできなかった。白石から457号線に入って間もなく、土砂崩れで通行止となっていたからで、4号線に引き返さざるを得なかった。
仙台に辿り着く前に、1箇所くらい温泉に立ち寄りたかった。仙台近郊の秋保温泉が良さそうだと思い、白石の隣の大河原から県道を通って秋保へと向かった。共同浴場が21:30まで開いているというが、これがなかなか見つからず、ようやく探し当てたのがそのわずか5分前だった。既に閉める準備が始まっているところを、「すぐ出ますから入れて下さい!」と申し出る。
巨大旅館が林立する秋保温泉の中で、数人しか入れない小さな浴槽を持つ公衆浴場は、ここだけ時間の流れが違うような雰囲気があった。文字通りカラスの行水状態だったが、湯は長湯していられないほど熱く、十分味わうことができた。
そこから仙台市の中心街に辿り着いたのは22時過ぎのことだった。まず宿を探す。知っている名前のビジネスホテルチェーンに電話し、数軒に満室と断られたあと、「ドーミーイン仙台」の1室を確保できた。「広いお部屋ですが、この時間なのでお値引きして…」と案内された一部屋は、ツインのベッドと和室が組み合わさり、4人は優に泊まれようかという部屋だった。
部屋に荷物を置き、夕食を取ろうと外に出た。仙台と言ったら牛タンだが、この時間で店を選べる余裕もなく、幸いホテル近所にまだ開いていた店を見つけることができた。
牛タン焼にテールスープ、とろろに麦飯と、実にオーソドックスな組み合わせだが実に美味い。ご飯が進む味だ。当然ながら車の旅では日中飲めないから、一日分の渇きを冷たいビールで潤した。ビールとの相性も最高だ。
おかわりのグラスを空けたところで店を出た。ドーミーインはビジネスホテルながら大浴場も備えていた。改めて身体を洗い、ゆっくり温まってから寝た。

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