ブダペストは温泉の街でもある。ゲッレールトに宿を取ったのも温泉が併設されているからで、温泉こそがブダペストを訪れた理由どころか、今回の旅の最大の目的と言っても過言ではなかった。
丘を降りて、早速温泉を探した。まず最も近いルダシュ温泉に行ってみたが、"Bath open as usual"とは書いてあるものの、どういうわけかクローズしていた。
次に近いのはどこかと思って地図を探すと、ここから少し北の方にキラーイ温泉があった。少し距離がありそうだったので、かつては装飾的な偉容を誇り、今はシンプルな装いで再建されたエルジェーベト橋でペストに渡り、地下鉄で再びブダ側、バッチャーニ広場駅に移動した。
駅からの道で少し迷ったが、どうにか辿り着くことができて、きちんと営業していた。料金を支払うと、ICチップが入ったリストバンドを渡される。浴場の入口には改札機があって、リストバンドをかざすとゲートが開く。その先には更衣室があって、案内されたブースで水着に着替え、更にその先でシャワーを浴びてから入浴する。
オスマン朝占領下に建てられた、トルコ式の浴場であるという。ほんのりと漂う硫黄の香りは温泉そのもので、日本の温泉を懐かしく感じた。暑い盛りに、少しぬるめの湯が心地よかった。